エタ・ヒニンとしての派遣社員【後編】

エタ・ヒニンとしての派遣社員【前編】の要約

偉い人やお金持ちのために生かされている社畜サラリーマン。

そんなこととは知らず、毎日ぎゅうぎゅうの満員電車に押し込まれ、ローンに縛られ、ストレスではち切れる寸前。

そんな社畜サラリーマンの心の廃液をぶちまけるのに、派遣社員はうってつけの存在。

ある程度までなら、何をしてもいい条件がそろっている。

【後編】は、どうして何をしてもいい存在なのか、会社やサラリーマンがエコブームにも関わらず、どうやって派遣社員を道端にポイ捨てしているかを書いていきます。

まだ読んでいない方は、前編をお読み下さい。

エタ・ヒニンとしての派遣社員【前編】

2017.04.17

派遣社員には、何をしてもいい

小学校、中学校のときを思い返してみて欲しい。

いじめ、あったよね?

やってたよね?

 

イジめられるヤツって、友達がいなかったのではないだろうか。

それはつまり、クラスという団体に所属していないということだ。

 

ここで、我々が子どもの時から決して口にしない暗黙のルールを思い出して欲しい。

 

それは、

「共同体に所属していない人間、つまりイジめられるヤツには死なない程度なら何をしてもいい」。

 

そこで、派遣社員の立ち位置を考えてみる。

 

派遣社員は派遣会社から派遣されているが、派遣会社の人間ではない。

さらに言えば、派遣会社は派遣先に頭が上がらないから、派遣社員の味方ではない。

もちろん、派遣先の人間ではない。

つまり、派遣社員は共同体に所属していない。

 

てことは…

イジメられるヤツと同じどうでもいい存在で、死なない程度なら何をしてもいいのだ!

 

とはいえ、みんな大人で、いちおー会社だから、子どもの頃のイジメのように体に暴力はふるえない。

そんなことをしたら捕まってしまう。

 

こう書くと、頭のなかがお花畑のひとは、法律やモラルがあるじゃないかと言うだろう。

 

法律については後に書くので、ここではモラルについて。

 

大半のサラリーマンは悪人じゃなくてに、ただのクズ。つまりフツーのひと。

大半の人間にとってモラルやルールは、所属する団体や特定の集団から変なやつだとか思われたくなくて、その都度守っているものなんじゃないだろうか。

例えば、お得意さんには、綺麗な恰好で出向いて、丁寧な口調で話すけど、どうでもいい下請けや部下には、態度も口調も横柄に接するとか、好きな男にはかわいい女でいるけど、どうでもいい男には、キモイとウザいで済ませてしまう。

こういう類のこと、多かれ少なかれやってるでしょ?

どんなときでも、どんな人間にも、同じように振る舞えるひとは一握り。

当然、社畜にそんな聖人君子はほとんどいない。

 

ちょっと逸れてしまったので、話を戻す。

 

Mさんと会社の、派遣社員のポイ捨てのやり方

ここで、サラリーマンと会社が派遣社員をどんな風にエタ・ヒニンとして扱っているか、

エコブームにも関わらずどうやって道端にポイ捨てしているか、私が知っている事例を紹介する。

 

Mさんって、こんなひと

サラリーマンの仮名はMさんにしよう。

Mさんを簡単に言うとこんなひと。

  • 47歳
  • 妻と中学、小学校高学年の娘二人
  • 一部上場のメーカー勤務
  • 開発の仕事をしている
  • ちび、でぶ、ハゲの三重苦
  • くちゃらー
  • コーヒー好き

ちなみに、Mさんは安いコーヒーが好きだ。

コーヒーを、まるで味噌汁のように飲む。

こんな感じに⇒「じゅる…じゅるじゅるじゅる…ずー、ず、ずー、じゅるじゅる…あ~」

あと、年がら年中汗をかいている。

 

派遣社員クラッシャーのMさん

Mさんはこれまで、派遣社員を9人潰した。

潰したというのは、Mさんが嫌ですぐに辞めたり、他の部署へ移動したりだ。

 

パワハラの講習で注意される、人前での叱責などは日常のデフォルトで、

既婚の男性派遣社員に「よく結婚できたね。生活大変だろ」とか、

ちょっとしたミスで「この仕事むいてないよ。辞めたら」など、

人格を否定することを、天気や世間話でもするように言ってくる。

 

会社は何らかの対策をとらないのかと思う方もいるだろうが、会社は知っていて黙認している。

 

どうして会社はMさんを黙認しているか?

というのも、Mさんが担当しているテーマは、市場が先細りで、近いうちに廃止になる。

それでも、まだ数年はやらなければならないし、少しだが改良の余地がある。

そんなテーマを若手にやらせるわけにいかない。

 

開発の部署は、今や院卒がほとんだ。大卒でさえちょっと肩身が狭い。

そんなところで驚くことに…Mさんは高専卒だ。

本来は製造の監督でもやらせるはずが、人手が足りないときに配属されて、なぜか今でも残っている。

(バブルの負の遺産って、こういうとこにも残っているよね)

 

開発の部署は、院卒でないと出世できない。

派遣社員の将来をバカにしていたMさんだが、会社での将来はもう既に詰んでいる。

 

出世できないとはいえ、社内試験に合格すれば、ランクも上がるし給料も多少はあがる。

でも、Mさんには、ほとんどの社畜と同じく、上昇志向というものが病的に欠落している。

社内試験を受けないので、ランクは院卒の新入社員より下なのだ。

テーマを廃止にしたら、製造にまわすか、倉庫の整理でもやらせればいい。

 

先細りのテーマをやらせるのに、まっさにうってつけの人材なのだ!

 

ちなみに、Mさんの口癖は「会社は俺を正当に評価していない」だ。

 

Mさん、10人目の派遣社員もクラッシュ!

そんなある日のこと。

10人目の派遣社員が会社を休んだ。

風邪かと思っていたが、一週間経っても会社に来ない。

10日目ぐらいに派遣会社の担当が来て、うつ病で長期療養が必要だと報告した。

(Mさんの言動が原因とは言わない)

医師の診断書もある。

派遣会社の担当は、迷惑かけて申し訳ないと平身低頭だ。

(なんで謝るんだろうね…?)

派遣社員はこのまま休ませて、契約満了でクビということになり、すぐに代わりの派遣社員を見つけるということで話は落ち着いた。

 

派遣社員ポイ捨てマニュアル

Mさんは欲求不満になり、次の派遣が早くこないかとウズウズしてた待っていたが…

労働局から「あっせん通知書」が届いた。

 

通知書には、Mさんのパワハラが原因でうつ病になったから賠償しろとある。

それから、Mさんに言われたことやされたことを日時までメモしたものも添付されていた。

 

だが、会社はこんなことで慌てない。

法務の担当が来て、マニュアルがあるからそれに沿って次のような方針が決められた。

  • パワハラはなかった
  • 酷い言動は全否定
  • 軽いやつは認めて、でも悪意はなかった、そんな意図はなかったで貫く
  • 現場には箝口令

 

会社がなんでこんな強気かと言うと、裁判にならないのは分かっているから。

慰謝料は、裁判で負けても給料の数か月程度。

弁護士費用や労力を考えれば、あっせんで解決できるのは分かっている。

 

ちなみに、Mさんは、ちょっとの小言でお咎めなし。

なんらかの罰を与えたら認めたことになるから、というのは分かるよね?

 

そうそう、ここで先に書かなかった法律について。

 

「パワハラ」は法律に存在しない

派遣社員も労働者なので、理屈では労働法に守られている。

うつ病になった派遣社員は、労働局に、こんな酷いことを言われた、こんな酷いことをされたと報告し、医師の診断書も見せたが、「そうですか」と相槌を打つだけ。

労働関連法のどこにもパワハラしちゃダメですよ、なんて書いていないから何もすることがない。

話をひと通り聞き終わると、あっせんを勧めて制度の説明をする。

 

それだけ。それで終わり。

 

会社に指導しないし、事実確認さえしない。

労働法を取り締まる労働局や監督署が特に何もしないので、派遣社員には何でもできるのだ。

 

派遣社員の廃棄費用はごくわずか

そして、あっせん当日。

派遣社員が提出したメモに沿って、労働局の職員が派遣先から話を聞く。

従来の方針どおり法務の担当は、パワハラはなかった、それは言ってない、それは言ったが悪意はなかった、

それから、現場からかき集めた派遣社員のミスをあげて色々と問題があったと反論する。

労働局の職員もある程度は、これは酷いとか、悪意はなかったではすまないなどと言うが、相変わらず同じことしか言わない。

 

だが、会社側は最後に、何らかの迷惑や誤解があったのは認めて解決に前向きだと言う。

 

ここで金額の話になるが、相場よりずーっと低い金額しかだせないと言う。

(要するに値切ってる)

金額についてしばらくやりとりをして、相場よりちょっと低い金額を提示して、これ以上はだせない、

この額で納得できないなら訴訟になってもいいと強気なことを言い出す。

(派遣社員が疲れて、早く解決したいのを知っている。相手の足元を見ている)

 

案の定、派遣社員はうんざりしていて、納得はできないが訴訟をやる気力はない。

悔しいが、早く解決したくてハンコを押す。

 

これで、派遣社員のポイ捨ては終わりだ。

 

大きい会社ならパワハラはある。

その中でうつ病になる者もいるし、うつ病までならなくても体調を崩すものもいる。

だが、そのほとんどは訴訟にならないし、あっせんすら知らない派遣社員がほとんどだ。

あっせんまで発展しても、解決金は給料の2か月分取れればいいほうだ。

 

あっせんになることなど年に1,2件だろう。

その解決金は100万円にもならない。

引当金を計上する必要もないんじゃないか。

つまり、社畜と会社は、

数十万払えば、派遣社員にある程度なら酷いことをしてもいいのだ。

お上がそれを黙認している。

 

派遣社員が、現代のエタ・ヒニンとして扱われているというのは飛躍し過ぎだろうか?

では、そう思う人たちにこんな質問をしたい。

 

友人に派遣社員がいたとして、正社員ばかりのコンパに呼べますか?

娘が派遣社員と結婚することに無条件で賛成できますか?

男性派遣社員から交際や結婚を申し込まれたらどうしますか?

仮に付き合うことになったとして、友達に堂々と紹介できますか?

 

これらの質問に、即答できるひとはほとんどいないだろう。

イイネ!かツイートしてもらえたらめちゃくちゃ喜びます!