愛のない会社への「葉隠入門」の乱

組織で生きるための希望としての「葉隠入門」

完璧な会社などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないように。

 

会社は、その本来の存在目的である利潤の追求のため、

そしてそこで働く人々が幸福になるべく設計されているのかもしれない。

 

しかし、そのガバナンスを構成している人間が不完全であるため、

その機構は不具者のように不完全で、奇形だ。

 

派遣を虐めて楽しむ万年平社員…

感情を剥き出しにして当たり散らす上司…

時代にまったく順応できないのに何故か出世しているバブル世代…

 

これら精神的奇形の人々がいる会社で働くことは、

サラリーマンという生き方を選んこと自体が、

得体の知れない罰を背負わされているのではと思えてくる。

 

それでも、我々は生きなければならない。

 

夜、満員電車に乗って帰宅し、夕食をとり、風呂にはいり、疲弊しきってベッドに横になるとき、

私は「葉隠入門」をひらく。

 

「葉隠」には多くのエピソードが収録されている。

例えば、

死ぬまで憎まれ役を演じることで、優秀だが自惚れの強い藩士の精神的成長を促した重役。

ひとに意見をするために、まず自分の欠点をさらし親しく打ち解けることから始めるひと。

 

全てを紹介することは出来ないので一部だけになるが、

これらのエピソード全てに、他人に対する思いやりがある。

 

もっと大胆な言い方をすれば、同じ共同体に所属する人間への愛がある。

(誤解しないで欲しいが、私が言っているのは組織への愛ではない。組織への愛などという言葉は、従業員を自殺させる経営者が言うことだ)

 

だから、「葉隠入門」を読みながら、いつも私はこう思う。

 

この書物の1ページでも上司が理解できれば…

この書物の1ページでも会社に突きつけることが出来れば…

 

こうして、翌朝も会社に行くため、明日も生きるための希望を「葉隠入門」から得るのだ。

 

愛のない組織への反抗としての「葉隠入門」

しかし、現実を見れば、会社をはじめとする現代のあらゆる組織には、人間にたいする思いやりが病的に欠落している。

 

今後、日本社会のあらゆる組織は、バブル世代が意志決定を行うようになる。

 

彼らは、思春期に社会に甘やかされ、マス広告の甘い文句にたぶらかされ、肩書きやブランドなど、物事を表面でしか判断ができないように育成された世代だ。

 

そのような人間には、葉隠の底流に流れる、深い人間理解、人間愛には決して降りていけない。

 

では、我々若い世代は、彼らが死ぬまでただひたすら待つしかないのだろうか?

 

私はこの記事の冒頭で「完璧な絶望が存在しない」と書いた。

この言葉は、村上春樹の処女作「風の歌を聴け」から引用しアレンジしたものだが、

安心して欲しい。

完璧な絶望など存在しないのだ。

 

愛のない組織は、我々からあらゆるものを奪おうとする。

 

正当な報酬。

友人や趣味、家族と過ごす時間。

結婚すること。

子を産み育てること。

 

今後の社会で、我々の人生において必要なものを守るためには、愛のない組織に反抗しなければならない。

 

だが、それは暴力や戦争であってはならない。

 

「葉隠」の底流に流れる深い人間理解と人間愛に降りていくこと。

そのような段階に精神が成長することによって、我々から大切なものを奪おうとする組織への反抗となり、変革を促す希望の「乱」となるのではないだろうか。

 

最後に

「葉隠」は、江戸時代の佐賀藩の藩士、山本常朝が隠居後、自分の考えを口述筆記させたものです。

江戸時代の書物ですが、現代の組織に生きる我々にとってもフツーに役立つことが沢山書かれています。

例えば、普段から自分の考えを色々なひとに話すことで考えを明確にし、いざというときに自分の考えを明確に話すことができること、仕事ができないひとを思いやりのある方法でクビにすることでリスクマネジメントになること、会議中に欠伸をしない方法なんてことも書かれています。

 

読んでみると、なるほどと思ったり、そりゃそうだろと思うことが多いですが、私の経験ではそんな当たり前のことが出来ていないひとが沢山いるように感じます。

そして、言われてみれば当たり前と思うことを実践できるひとが少ないから、組織で働くことはとても疲れるのではないでしょうか?

そのようなひとがちょっとでも少なくなり、現代がもう少し快適になれたらとの思いで「葉隠」をお勧めします。

 

現代語訳もありますが、私がお勧めするのは三島由紀夫が書いた「葉隠入門」です。

こちらも原文と現代語訳が併記され、また現代人に役立ちそうなエピソードや考えをチョイスしてくれています。

入門なんて、薄めたのは嫌だね。俺はいつもストレートだという方には、やはり岩波文庫を。

 

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